複雑な工程を経て半導体は丁寧に完成する

製造の最初は設計から始まる工程構成
半導体の製造工程は、まず設計フェーズから始まります。
ここでは、どんな機能が必要か、どのような回路構造が適しているかをシミュレーションしながら、詳細な設計図を作成します。
そして、完成した設計に基づいて、シリコンウエハと呼ばれる基板に微細な回路を転写していきます。
この作業が「前工程」と呼ばれる工程で、酸化処理、薄膜形成、フォトリソグラフィー、エッチング、イオン注入、洗浄、研磨など複数の高度な工程が順番に進行します。
それぞれの作業には精密さが求められ、少しのミスでも不良品となるため、設備の性能と作業員の技術が試されます。
最後の工程で品質を守る重要な検査作業
前工程が完了したら、次は「後工程」と呼ばれる最終段階に入ります。
ここでは、シリコンウエハに形成された微細な回路を、実際に使える半導体チップに仕上げるための処理が行われます。
具体的には、ウエハを個々のチップに切断し、それぞれを専用の支持体に固定し、配線や接続作業(ワイヤボンディング)を施します。
続いて、パッケージングと呼ばれる工程でチップを保護樹脂で覆い、外部からのダメージを防ぎます。
こうして完成したチップは、最終的に厳しい検品作業を経て出荷の可否が判断されます。
検査では性能、耐久性、精度など多くの項目がチェックされ、基準をクリアしたものだけが市場へと送り出されるのです。
この一連の流れを通して、私たちが使うスマートフォンやパソコンが高性能に動作していることを理解しましょう。